今日は少しだけ堅苦しい話題をば。
下手をすれば、今日の記事は
今話題の睡眠導入剤なみに、あなたを睡魔の底にひきずりこむかもしれません。
近くに35歳前後の怪しい女性がいないことをご確認の上
できればカフェイン多めのコーヒーを飲みながらお付き合いください(笑)
それでは参りましょう。
お題は「技術力」
なぜ「技術力」?
・・・というのも。
はてぶ上位に来ていたcontroversialな以下の記事を読んで多々思う事があった為。
1位:
日本ITの国際競争力-
アゴラ
2位:
「雑な物づくり」に未来がある - レジデント初期研修用資料
両記事ともアプローチは違うものの、足元の技術力に傾倒しすぎる日本の現状に警鐘を鳴らしている点で一致している。
でも、自分は思う。「足元の技術力があっての日本でしょ?」と。
是非元記事を参照していただきたいが、念のため1位の「日本ITの国際力」の記事の要旨を勝手ながら説明させていただく。
要旨を踏み違えている点があれば、是非ご指摘いただきたい。
「日本ITの国際競争力」
技術は「表の技術」と「裏の技術」に分けることができる。
表の技術は主にネットワークを主体とする「プラットフォーム」的な技術を指すのに対して、
裏の技術は製品の信頼性や細かなデザインなど「プロダクト」的な技術を意味する。
表の技術の成功例がアメリカのGoogle,facebookに代表される新参IT企業である。
日本は裏の技術に走りすぎた結果、高品質を売りとするJapanブランドの確立には成功したが、
ネットワーク機能-すなわち「表の技術」の確立に完全に出遅れた。
日本のIT産業は未だに富士通、IBM、NTTなど老練な大企業に握られており、世界的なベンチャーが未だに出てこない。その為、IT産業における日本の国際競争力の低下が著しい。
その原因として、
1.ベンチャー企業を育てる社会的風土が未熟(投資規模、投資期間)
2.IT業界、とりわけベンチャー企業の人材不足(優秀な人材は大手にとられるケースが多い)
3.大手企業による市場独占の長期化
の3つが挙げられる。
情報処理に疎い人間が意思決定を下すような腰の重い組織では、
いくら資金力・技術力があっても今更プラットフォーマとして地位を確立していく事は困難である。
技術力に優れた人間が「オタク」として排される日本のIT産業における未来は暗い。
といった内容。
IT業界における日本の現状が的確にとらえられているし、また技術を「表」と「裏」に分類する切り口が面白い。
論旨も大筋で合意できる内容なのだが・・・どうにもプラットフォーム至上主義の考え方には賛成できない。
実際、日本企業がプラットフォーム分野で乗り遅れた今、この分野で挽回する事は不可能に近いと考えている。プラットフォームの性質上、排他的であり、市場独占力が非常に強いためだ。何か余程の技術、強みのある分野がない限り、Google、Microsoft、Appleといった世界的なプラットフォーマーがひしめく市場において新参者は頭角を現すことすら難しいだろう。従ってIBMや富士通などの大企業であれ、ライブドアやソフトバンクなどの新参企業であれ、今更プラットフォーム分野に舵を切りこの分野で世界を目指す戦略は現実的ではない。
それならばどうすればいいか。
・足元の技術(プロダクト技術)を磨き続ける。社会の流れに安易に左右されない。
・ベンチャー企業、科学技術研究を育てる社会的基盤の確立
プラットフォームよりプロダクト。
自分は今でもそう思っている。
確かにAppleのipodは、シームレスな統合的環境をユーザーに提供する事で絶大な支持を得た。
でも決して足元のプロダクト技術を軽視していたわけではない、特に洗練されたデザイン、UIに関してはApple製品の右に出る企業はなかっただろう。
Googleはどうか。Googleは世界中から天才と目される一流の技術者を集め、一流のサービスを無料で提供し、世界中のユーザーを惹きつけた。
その根底にあるものはやはり一流のプロダクト技術である。
プラットフォーム技術は、確立されたプロダクト技術があって初めて意味を成すものである。
だから日本もプロダクト技術を磨き続ける限り、チャンスはあると思っている。
あとはチャンスを見つけられるか。チャンスを生かせるかにかかっている。
プロダクトであれ、プラットフォームであれ。
技術がなくなったら、日本は終わりだ。
もう一度、日本をこれだけ豊かにした「技術」を、その大切さを訴えたい。
事業仕分けに関して言えば。
今までの無駄を排除するべく、今まで切り込めなかった分野に大いにナタをふるうのは意義があることだ。
天下り先の確保や自身の年金に固執する保身ばかりのご老人には、今後の日本のために是非ご退場いただきたい。その部分にメスを入れることには大賛成だ。
でも費用対効果では測れないものもある。
科学技術、研究分野への投資はその最たるものだと思っている。
もう一度いう。政府の補助金なんて当てにする科学技術の発展なんてやめにしよう。
なんて意見も出てきている。
だが科学技術、研究分野への投資は投資家にとってあまりにリスクが大きく、また産業を育てる気概も希薄な日本においては、自前で投資家を見つけて研究費を調達する事は不可能に近いだろう。
その上国まで費用対効果を科学技術、研究分野に求めるようになっては・・・。
遊びや失敗をする余裕のないところにbreakthroughはないだろう。
長い目で見て、技術力が衰退してしまった先の日本に何が待ち受けているのかを、一人一人が冷静に見定める必要があると感じた今日この頃でした。
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