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今日は「マズローの心理学」の第十一章、自己実現の経営を読んだ。
面白くて思わず二度読んでしまったので、備忘録として残しておきたい。

ダグラス・マグレガーは会社の経営理論として「X理論」と「Y理論」とをあげている。

X理論とは、人間は元来怠け者で労働を嫌うので、経営トップはリーダーシップを如何なく発揮し、時には罰や脅しにより労働を強制するというもの。一言で言えば、性悪説、スパルタ方式。

Y理論とは、人間は生来労働を嫌う生き物ではなく、労働条件によっては自発的に仕事がなされ、満足の源ともなるとするもの。罰のみによる手法を否定し、労働者の自己実現の欲求を引き出すことにより成果を挙げる。こちらも平たく言えば性善説、誉めて伸ばそう大作戦みたいなものだろうか。

マグレガーはY理論の立場を推奨し、またマズローもY理論の実践性に興奮しその効果を確信した。
健康な人間に対して、Y理論に基づく経営は労働者に尊厳と自己承認の気持ちを生み出し長期的かつ高い生産性につながる。

(*ちなみに「健康な」人間の定義は、第三章「自己実現の研究」から抜粋すると、「自己の可能性と能力を完全に発達させ実現させたいという欲求により一次的に動機付けられているもの。」
つまり、彼の言う健康な人とは「成長意欲をもって主体的に取り組む人」であり、それ以外の人とは「人に依存し、従属することを好む人」と捉えることが出来る)

ところが一方で、マズローはY理論が完全ではない事を見出していた。
それは、Y理論はマズローの唱える第三心理学で言うところの健康な人間に対してのみ効果を発揮するという点にある。

では、それ以外の人、たとえば権威主義的な会社に染まっていて命令されたことしかできない受け身な状態に陥ってしまった労働者に対して急にY理論を実践するとどうなるか。
マズローは次のように語る。
「たとえば、権威主義者によって与えられた自由や信頼は、このような人の場合には、明らかに悪い行為を示すことになるだけである。自由・寛大・および責任感は、完全に依存的で受身の人間を不安と恐怖におとしいれることになるであろう」

加えてY理論による経営を成功させるためには、Y理論がより開放的で誰でも参加できるタイプの組織を求める性質上、指導者の人間を見る目が確かであることが前提条件となる。なぜなら指導者が優れた人材を経営に抜擢できなければ、周りがもたついている間に何をなすべきかを素早く見通してしまい、全員参加型の負の部分-意思決定の遅延化を引きおこしてしまい、結局のところX理論により独裁的に進めたほうがうまく回ることがあるからだ。

このようにY理論による経営の実践にはいくつかの壁があるものの、マズローはアメリカの経営は徐々に、しかし確実にY理論の方向へと動いていると確信している。彼は次のように結論付けている。
「古い型の経営は、着実に時代遅れになっていく。同じ産業でも、古い経営方針の会社は、啓発された経営の下でよりよい製品を産出し、よりよい功績をあげてゆく企業と競争することにより、ますますその地位を追われていく。」

この章の話は経営のみならず、どのように部下を育成するかなどあらゆる分野において応用可能であるように感じて凄く面白かった。世の中には大きく分けて二種類の人間がいる-自己実現に向けて進んで努力できる人間と、受身的で言われたことしかしようとしない人間。前者に対しては、ある程度の自由と責任を与え、自尊心を高めてやることで成長を加速できる。後者に対しては、まずはリーダーシップを発揮してすべきことを明確にしてやり、時には厳しく指導する。成功体験を積み重ねていく中で少しずつ自由と責任を与えていき、自己実現に向けた成長欲求が高まるのを長い目で見守る。

来月から塾で非常勤として働く予定なので、その中で少しずつコーチングの腕も上げていけたらいいな。
どんな生徒たちが待っているのか今から楽しみだ。

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